豊洲市場移転までの総括と共生への要望書

2018年9月13日、豊洲市場 開場記念式典が執り行われました。

1000人ほどの参加者がいたといわれており、関係者の数が多いことが分かります。

おそらく10月11日には、築地から豊洲に市場が移転され、営業されることになります。

まあ、色々あった豊洲市場移転ですが、振り返ってみたいと思います。

 

1.豊洲市場移転までの軌跡

① 豊洲新市場基本計画

2004年7月に「豊洲新市場基本計画」が策定されるわけですが、基本計画を抜粋してみてみたいと思います

〇基本構想

1 施設計画

○ 建設予定地
位置 :江東区豊洲6丁目 5・7街区及び6街区の一部

○ ゾーニング
・ 豊洲地区のまちづくりに配慮し、流通ゾーン、景観ゾーン、賑わいゾーンを設定した。
・ 流通ゾーンは、効率的な物流等の観点から、5街区に青果部卸・仲卸を、6街区に水産物部卸を、7街区に水産物部仲卸の各機能を配置することを基本とする。

○ 施設配置
・ 施設配置計画にあたっては、新市場が備えるべき流通機能とにぎわい機能を適切に調和させる。

2 効率的な流通システム

○ 一貫した物流システム
・ 効率的な物流のための転配送センター、荷さばきスペースを新たに配置する。

○ 流通を支える情報システム
・ 市場の入口から出口まで、円滑に荷の搬出入ができるよう、車両をバースや駐車場へ誘導するシステムを構築する。
・ 物流作業のスピードアップや迅速な入出庫管理を行うため、ICタグ等を活用し、卸売場や仲卸売場等の市場内の各流通段階で入出荷等の商品管理を行う。

5 環境への配慮

○ 排気ガス対策
・ 搬出入車両台数の削減やアイドリング・ストップの徹底など、搬出入車両対策を行う。
・ 車両台数の削減や全車両無公害車への転換など、場内搬送車両対策を行う。
・ 船舶の活用(桟橋の設置 200m)

○ 地域環境への配慮
・ 市場機能からの騒音や振動、漏れ光などが、直接、周辺街区へ影響しないような対策を講じる。
・ ヒートアイランド現象等の緩和や空調負荷の低減のため、可能な限り屋上緑化を行う。

6 景観への配慮

○ 景観計画
・ 水際線は、都心の景観を望む絶景のウォーターフロント・プロムナード
として整備する。
・ 景観ゾーンに連担した6街区の施設は、積極的に屋上緑化を行う。

7 千客万来の市場づくり

賑わいゾーンに、『食』を中心とした出会いと楽しさに溢れる千客万来の市場づくりを行う。
【基本的考え方】
◇ 食文化の継承
・ 国内外の食文化の体験・学習の場の提供
・ 市場に関する歴史や機能学習の場の提供
◇ 観光拠点の創造
・ 「食」を通じた娯楽機能の導入
・ 市場でしか味わえない「食」の提供
◇ 産業の振興
・ 品種、商品等新しい情報の受発信
・ 新規顧客開拓の場の創出
◇ 景観の形成
・ 豊洲のまちづくりと一体性のある施設配置と景観形成
・ 親水護岸や屋上緑化を活かした憩いと安らぎの場の提供
※ 開発手法
定期借地権方式などを利用した民間活力による効率的な施設整備・運営を図る。

 

〇計画の実現に向けて

・新市場整備スケジュール

ざっと見て思うのが、今から15年前に、だいたいのアウトラインの計画が出来上がっていたことが分かります。

一方、計画と現状が違いそうなものを見てみたいと思います。

5 環境への配慮

・出入車両台数の削減は果たしてされているのでしょうか?また、船舶の活用もあまり見えていません。

7 千客万来の市場づくり

・基本的な考えである、食文化の継承や産業の振興に関しては、現在の計画ではあまり施策を打ち出しているようには思えません。

〇 新市場整備スケジュール

開場の計画は、平成24年ーとあるので、そこから比較すると実は6年遅れです。

気になるのが、想定車両を見誤っているのではないか?という事です。それに伴い、駐車場や近隣の道路の車線数(流量)が計画されていると思われ、このままではキャパオーバーするのではないかというところです。

さて、以下の図を見たことはありますか?

(※NTD TKS プロジェクトの姿より http://ntd.way-nifty.com/blog/2005/05/post_80fd.html)

 

これは、ITプロジェクトにおける各役割の”像”を表していて、IT開発を風刺しています。

要件決めたユーザー(顧客)のイメージが、オーバースペックで実現不可能なことであったり、実際に稼働(実装)されたものが、スケジュール制約の為、完全でないものがであったりします。

そうならないためには、フィージビリティスタディをしたり、アジャイル型で開発したり、ユーザーに対してチェンジマネージメントを実行したりします。いわゆる、プロジェクトマネージメントです。難易度高いプロジェクトは、失敗するケースが大きいですが、少なくともPMがいてマネージメントするわけです。

さて、豊洲市場移転においても、ずっと思っているのがプロジェクトマネージメントすらしていないのではないのではないかというところです。

特に、ユーザーとなる店子さんに対するマネージメントがあったのかどうか疑問です。

ITシステムでも、ユーザーの使い勝手が変わると抵抗があります。使いづらいとか、時間がかかるとか。

変化に対しては、人はストレスを感じるからです。豊洲市場移転に対しても、当然、市場関係者にはストレスがかかるわけです。

そのストレスに対して、何かしたのでしょうか?

ITシステム導入などでは、上記のようなステップでチェンジマネージメントをしていきます。

市場の店子さんは、企業における社員がユーザーではないので、そこまで統制できないと思いますが、このようなステップを組合に対して促すことはできたのではないでしょうか。

記載されている崇高なビジョンを実行するためには、大きな建物を作る労力とお金だけでなく、このチェンジマネージメント施策はリソースを追加してもやるべきではなかったでしょうか。

 

さて、豊洲市場移転までの軌跡を先に進めてみましょう。

 

②東京ガス工場由来の土壌汚染

平成19年から豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議が始まり、土壌汚染があることが分かります。

その後、平成21年2月には、以下のように豊洲新市場整備方針が策定されます。

1 土壌汚染対策

「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の提言を
もって都の土壌汚染対策とする。
○ 経費 586 億円、工期 20 ヵ月

2 豊洲新市場開場時期及び整備スケジュール

豊洲新市場開場時期 平成26年度中

開場に関して、最早で平成24年といった計画でありましたが、明確に平成26年度中に開場という計画が発表されます。これと比較すると4年遅れました

 

③政治による一回目の紆余曲折

その後の動きをWikipediaを引用してみます

都議会民主党による移転反対と移転決定
2009年(平成21年)7月の東京都議会選挙の結果、移転賛成派の自由民主党に代わって反対派の民主党が都議会第一党となり、移転へのハードルが上がった。同年9月には赤松広隆農林水産大臣が築地市場を訪れ、安全性が担保されない限り、卸売市場法に基づく許認可を出さない方針を表明している。民主党は豊洲移転に替わる案として、晴海地区を利用し、現在の築地市場を再整備する案を表明している。この案には民主党の他に日本共産党も賛成しており、豊洲移転推進派の自由民主党と公明党は反対している[30]

豊洲移転反対であった民主党が都議会の第一党になったことにより、状況が変わったようです。これは、企業では起こらないことですので、プロジェクトマネージメントとしては、難易度が高いでしょう。

具体的な影響として以下のような事象があったようです。2016.9.22 08:18 産経新聞

築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の主要施設下で都が土壌汚染対策の盛り土をしていなかった問題で、地下空洞の設置を決めた当時の担当幹部が都の調査に対し「移転に反対だった都議会民主党への対応に追われ、盛り土をしないことは知らなかった」などと証言していることが21日、分かった。盛り土をせず、地下空洞を設ける整備案は技術系職員が決めたとみられるが、移転論議が紛糾する政治局面の中、幹部との情報共有が十分に行われていなかった可能性がある。

これが正しければ、移転反対の民主党が都議会第一党の状態が引き金になった盛り土問題が、小池都政において、市場移転延期の引き金になったという、とても因果な歴史があったといえると思います。

それにしても、豊洲市場の移転問題は、イデオロギー的といってもいいと思っており、脱原発と同様なテーマなのかという理解です。正直どちらでもいいですが、それに伴い豊洲への謂れなき中傷がそのプロパガンダにより発生してきているように感じています。

また、Wikipediaに戻ってみます

しかし、その後都議会民主党は、都が関係者と合意したことで移転賛成に転じた。2012年(平成24年)3月29日の都議会では、市場移転費用を含む新年度予算案が賛成多数で可決し、移転はほぼ確実になった。

その後も工事と同時並行で協議は進み、2014年(平成26年)12月17日の新市場建設協議会において、2016年(平成28年)11月7日に豊洲市場を開場する方向で正式に決定した。

 

平成24年に市場移転費用を含む新年度予算案が可決したことにより、政治による1回目の紆余曲折が豊洲市場移転に向けて進んでいきました。

開場が、当初平成26年度中でしたが、28年度中に開場という計画になっており。遅れたことになります

 

④千客万来事業者(すしざんまい)の撤退

ちょっと前後しますが、平成26年2月に千客万来事業者として、喜代村(すしざんまい)と大和ハウス工業がきまりました。

ただし、平成27年2月に大和ハウスが、同4月にはすしざんまいが撤退することとなります。

 

これは何だったのでしょうかね?

受託企業の信頼性に疑問もありますが、委託した東京都が契約や計画策定の際にちゃんと仕事をしていたのかに疑問を持ちます。

この時には、私は、東京都とは担当課長などとコミュニケーションをとっていましたが、千客万来は2の次”感を感じていました。

 

ただし、その後平成28年3月に、千客万来事業者として「万葉倶楽部」が決定します。

また、同時期に地元町会に対して開場前の市場見学会が実施され、参加したことを思い出します。

 

⑤政治による二回目の紆余曲折

平成28年度に入り、11月開場に向けて

5月 豊洲市場の水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟、管理施設棟の建設工事完了

6月 千客万来施設事業(6街区)基本協定書の締結

と、ことが進んでいきます。

 

そして、平成28年7月31日に東京都知事選挙があり、東京都知事として小池百合子氏が当選いたします。

その1か月後、「築地市場の豊洲移転延期を表明」するわけです。

延期判断の理由としては(1)安全性への懸念(2)巨額で不透明な費用(3)情報公開の不足。

小池氏の選挙公約には、市場移転が入っていなかったと記憶しているので、青天の霹靂だったと思います。

 

⑥豊洲の街への謂れなき中傷

10月くらいからは、市場に関する様々な報道がなされて、記事もたくさん書きました。

豊洲の土壌汚染は、間違い。

新市場の土壌汚染に関する豊洲の風評被害対策で。やってみた

 

まあ、色々と「毒」という字を見ました。

また、一部の都議に対して配慮が足らないという意見が多くありました。

さらに、2017年の2月くらいに風評被害に関するアンケートを取ってみました。

7割ほどの方が、腹を立てていました。

また、意見としては

  • 地方の友人から、豊洲に住んでいて大丈夫かと心配の連絡が来る。
  • 職場の雑談で、年末に築地市場に行く話をした際、豊洲の住民とわかっちゃうと市場の人が魚を売ってくれないんじゃないのかと馬鹿にされた。
  • 全国の人が集まる会合で、豊洲から来ましたというと「あの、豊洲からですか」と揶揄された。
  • 豊洲でビジネスをしている方が、キャンセルの影響を受けた。

さらには、子どもへのいじめも加えて、豊洲の住民が何かしらの影響を受けました。

また、湾岸住民にとってどの解決策が相応しいかアンケートを取りました。

結果は、豊洲移転が4割強、豊洲築地以外の第三地域移転が3割、希望者のみ豊洲移転が2割弱という状況になりました

忸怩たる思いの人が多くなってしまいました。

今になって当時を振り返ると、毎日のワイドショーが不快でしょうがありませんでした。

日常生活でも、豊洲住民という事で何かしらネガティブなことを言われるのは、日常茶飯事になっていましたね。

この騒動が以前は、市場に対して歓迎ムードだったと思うのですが、17年3月にて、4割位が”豊洲に市場が来ないほうがいい”という結果になってしまいました。

 

その他、詳しくは、豊洲における市場移転経緯と、市場への失望にて

 

千客万来事業者(万葉倶楽部)の撤退未遂

7月になり、豊洲市場で千客万来施設を運営する予定であった万葉倶楽部が、撤退を検討しているという報道がありました。

理由としては、知事の「築地は守る、豊洲は活かす」という例のセリフです。

 

MXのニュースでは、豊洲近隣住民の方がインタビューに答えていますが、

・楽しみにしていたのに

・業者の言い分は当然であり、小池知事に責任がある

という内容でした。また、私の周辺でも今回のニュースを機に激怒している人が多くいます。

そこで、再び7月にアンケートを取りました。

7月になると、住民の意見が、6割が千客万来など受入3条件整備の前提で受入、受入拒否が25%になりました。街の意見に分断が起こってしまったことは、大罪で、今後もあとを引くでしょう。

 

2.地元江東区議会などの経緯

東京都や市場を中心とした経緯を書きましたが、地元江東区などの意見などを記載したいと思います。

◆平成15年

「今から約15年前、市場の豊洲移転が発表された際、地元住民は、”都市計画されていた素晴らしい景観の土地になぜ市場を移転させるのか”、”そもそもトラックの影響も心配”という意見であった」

東京都議会:平成15年_第1回定例会の議事録(当時の柿沢未途都議の質問)

昨年九月、築地市場の豊洲移転を前提とした豊洲・晴海開発整備計画の再改定案が発表されました。これまでの計画では、居住機能に重点を置いたまちづくりになっていましたけれども、対象地域のうち豊洲地区の面積の実に四割を市場が占めることになったことから、今度の再改定案では、業務・商業、居住、市場などがバランスよく配置された複合市街地の形成ということを掲げています。その結果として、居住人口は当初の予定の三万一千人から一万三千人へと激減しています。この市場の移転計画に対して、元となる豊洲地区の住民の間には不安と戸惑いが広がっています。新市場の予定地である、いわゆる豊洲半島は、水辺から、レインボーブリッジを初めベイエリアの町並みが一望できるすばらしい景観を持っている場所です。平成十七年には半島を横断する形で「ゆりかもめ」が延伸し、交通の便も飛躍的によくなります。まさに都心居住のモデルである場所となるべきであったのに、そこになぜ市場が移転をしてくるのか、そんな声が聞かれます。

また、市場に流入してくるトラックによる影響も心配されています。築地市場には一日一万五千台もの車両が出入りをしています。築地市場の前に、日中のみならず深夜、早朝まで折り重なるトラックの列を見れば、地元の人が心配をするのも当然だと思います。とまっているトラックのほとんどは、エンジンをかけっ放しにしていて、アイドリング中の排ガスがもたらす環境への影響も大きなものがあります。

しかし、それにも増して問題なのは、一体市場がいつ移転をしてくるのか、どんな計画なのか、地元の人にはほとんど何も知らされていないことです。周辺の町会長さんなんかに話を聞いても、ほとんど何も知らない。もともとあった開発計画をチャラにして、これだけ周辺に大きな影響を与える施設を移転させようという割には、都は地元に対する説明責任を十分果たしていないのではないでしょうか。

◆平成25年

「江東区は、東京都による土壌汚染対策の確実な実施、地下鉄八号線の延伸やバス路線の新設による公共交通機関の充実等「交通対策の実施」、「にぎわいの場」の一体的な整備、「環境まちづくりへの配慮」の四つの課題対応を求め、市場の受け入れを了承した」

(平成25年年初の山﨑江東区長からの庁内放送)

最初に、築地市場の豊洲移転整備についてですが、平成二十三年七月に、東京都からの協議を受ける形で、四つの課題対応を求め、市場の受け入れを了承したところであります。
一つ目は、「東京都による土壌汚染対策の確実な実施」、二つ目に、地下鉄八号線の延伸やバス路線の新設による公共交通機関の充実等「交通対策の実施」、三つ目に、多くの区民や都民、観光客が訪れる「にぎわいの場」の一体的な整備、最後に四つ目として豊洲グリーン・エコアイランド構想を踏まえた「環境まちづくりへの配慮」であります。
これらの区の要望に応える形で、昨年の十一月に東京都から豊洲新市場の施設計画の概要と千客万来施設の基本方針案が発表されましたが、土壌汚染対策工事の完了後、工事に着工する予定でおります。
豊洲新市場の整備は、今後の本区の発展にとって特に重要な課題であり、全力を挙げて取り組んでいく必要があると考えております。
次に、中央防波堤埋立地の帰属については、本区におけるごみ問題の歴史的経緯を踏まえれば、本区に帰属することは当然のことであります。昨年からテレビや雑誌などのメディアで取り上げられはじめ、都民の問題意識を高めてくれましたが、これを良い機会ととらえ、区民と区議会、そして行政が一体となり、毅然とした強い姿勢で、取り組んでまいります。
東京都による土壌対策、交通機関の充実、賑わい施設の整備などを条件に東京都からの要請に受入を了承
◆ 平成29年2月21日

「江東区議会は、(土壌汚染の)徹底的な調査及び対策と、豊洲地域の風評被害の拡大防止及び払拭のための対応を行うことを東京都に求めている」

(江東区議会、豊洲市場の土壌汚染による風評被害への対応を求める意見書)
このたび、豊洲市場において、建物下に土壌汚染対策のための盛り土がなさ れていなかったことに続き、地下水モニタリング調査では、国の環境基準値を 大幅に超える有害物質が検出されたことが明らかになった。このことについて は、本区議会としても、その徹底的な調査及び対策を東京都に求めているとこ ろである。 一方、この間、東京都が発信する豊洲市場の土壌汚染に関する情報は、場所 を限定することなく豊洲という地名を用いているため、あたかも豊洲地域全体 が汚染されているかのような印象を与え、当該地域全体の風評被害につながっ ている。 しかし、有害物質が検出された地域は、ガス工場の操業跡地に建設された豊 洲市場のみであり、影響地域は極めて限定的なものである。 よって、本区議会は、東京都に対し、土壌汚染に関する情報を発信する際には、豊洲市場の建設地がガス工場の操業跡地であることを明示する等、豊洲地 域の風評被害の拡大防止及び払拭のための対応を行うよう強く求める。 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
◆平成 30 年 6 月 29 日
「江東区議会は、千客万来施設については、速やかに事業者と書面による協定書を締結、豊洲地区全体の風評被害払拭のための取組を一層進めること、地下鉄8号線延伸の事業スキーム構築を求める。」
(東京都からの豊洲市場に関する報告を受けての議長コメント)

昨年 12 月に豊洲市場の開場日が決定しましたが、本区議会が市場受け入れにあたり東京都と交わした3つの約束について、都は全力で取り組んでいくと述べたにもかかわらず、実現に向けた進展や十分な説明がなく、実質的な協議が行えないという憂慮すべき事態に陥っていました。
さらに、5月末、都は千客万来施設の整備について、区への情報提供を一切行うことなく、これまでの説明内容を一変させたことから、都と区及び区議会との信頼関係は、大きく損なわれるに至りました。
こうした状況の中、6 月 29 日開会の清掃港湾・臨海部対策特別委員会においては、都側から今後の方向性や取組を示した資料が提出され、内容について報告があったほか、長谷川副知事が区役所本庁舎を訪れ、区長ならびに正・副議長、正・副委員長に対し、直接の謝罪と説明がありました。
そのうち、本区の長年の悲願である地下鉄8号線の延伸に関しては、「優先的に進めるべきという区の強い思いなども踏まえ、今年度中を目途に、事業スキームの構築に向け取り組んでいく」と明記されるなど、これまでにない踏み込んだ内容が提示されており、一定の評価はできるものの、バス路線の新設については、説明に不透明な部分がありました。また、千客万来施設については、具体的な整備スケジュールや、都が行う賑わい創出の方法などについて提示がなく、土壌汚染対策についてもいまだ完了していないなど、各委員から厳しい意見が出されました。
本区議会は、これまでの都の対応から、市場移転延期の決議に踏み切らざるを得ない可能性も示唆していたところですが、今回の報告内容には、課題解決への一定の前進と今後の取組への決意が示されたものと斟酌し、決議については留保することとしました。しかしながら、豊洲市場の開場があと3か月あまりと迫っている現状を踏まえると、積み残しとなった課題に進展が見られない場合は、改めて何らかの意思表示をする必要があると考えます。
まず、千客万来施設については、速やかに事業者と書面による協定書を締結し、着工から整備完了までのスケジュールを決定するとともに、都が行う賑わい創出の方法などについて明らかにすることが早急に求められます。また、土壌汚染対策においても、安全・安心に向けた対策を適切に進めるとともに、豊洲地区全体の風評被害払拭のための取組を一層進めるべきです。さらに、地下鉄8号線延伸についても、東京都が先頭に立ち、早期建設に向けた国等との協議を行うことで、確実に今年度中に事業スキームを構築することを求めます。
本区議会は、引き続き東京都に対して、区への報告や協議を精力的に行うとともに、約束を確実かつ速やかに履行するよう強く求めてまいります。

今年は平成最後の年ですが、平成の半分を使って計画から開場へと向かうことになります。冷静に考えても、豊洲地区の風評被害は余計です。

 

3.豊洲市場移転に向けて

地元にとって、この市場移転は、とても難易度が高い問題です。色々な要素が含まれているためです。

ざっとですが、

  1. 受入のバターである3条件が、曖昧である
  2. 土壌汚染に関して、判断基準がよくわからない(舛添都政では、問題なかった土壌が小池都政で問題になったのがよくわからない。なお、盛り土問題が移転延期をするという判断に至る理由がわからない)
  3. 市場移転に関連する報道にて、謂れなき中傷を受けたことにより、住民は感情を害した。また、その感覚は住民によって異なる。
  4. 千客万来に関して、小池都政になり万葉倶楽部の動向が危うくなった。また、予定より規模は縮小した。
  5. 千客万来の開場が、市場開場と同時期で無くなった。
  6. 交通問題に関して、8号線延伸に関しては開通を条件とはできないので、どのステージをもって条件達成とするか難しい
  7. 東京都マターという事もあり、行政と地元住民との距離があった。
  8. そもそも豊洲移転するという前提で、オリンピックを含めた計画が進んでいた。

本来地元として重要な、トラックの待機車両問題や治安の悪化などの課題が風評被害問題の陰に隠れてしまっていることも、潜在的な大きな課題だったと思います。

その前提で、地元江東区の選択肢としては

  1. 無条件で予定どおり市場受け入れ
  2. 条件付きで、予定通りで市場受け入れ
  3. 市場受け入れ拒否

というのが、今年の初夏の選択だったと思います。

正直ベストは何かわかりませんが、最悪の1ではなく2で進められたのがよかったのかなと個人的には思います。

 

①江東区の対応

江東区議会の平成30年の第二定例会でも、各議員が市場に対する東京都の対応に対して苦言を呈したことと、先の平成 30 年 6 月 29 日の議長コメントでも、東京都への意見を投げかけた形です。

その後、8月に入っての委員会にて東京都から回答がありました。(関連記事:豊洲市場移転に伴う今後の計画と所見ー地下鉄8号線延伸・BRT・交通対策、風評被害対策

②地元住民の対応

また、9月11日には、豊洲町会会長・豊洲商友会理事長を筆頭に各自治会名で要望書を提出いたしました。

NHKやMXテレビでは、ニュースとして取り扱ってくれました。(さんざんワイドショーで取り上げてくれた民放からの報道がなかったのは、とても残念です。)

また、とよすとさんも記事にしてくれました。

さて、以下、要旨趣旨と要望項目(抜粋)になります。

〇要望趣旨

80年前,豊洲は,将来の発展を願い,豊かな土地になるように「豊洲」と命名されました。昭和の時代は,石川島播磨重工業などの工場とともに,住宅,商店,工場が共生し,21世紀からは,加えて,タワーマンション,ショッピングセンター,オフィスビル,大学と様々な人々が共生する住宅人口3.7万人,中心地である東京メトロ豊洲駅は1日当たり21万人が乗降する街(以下,豊洲の街)となっています。私たち地域住民は,この度,移転する豊洲市場に対しても,迷惑施設となる要素も感じながらも,土壌汚染対策,交通対策,にぎわい施設整備を条件(以下,移転3条件)とし,しっかりとした市場づくりが約束されたことから,共生をしていく一員として受け入れようと考えたところです。

しかし,東京都は,移転3条件の市場移転前の確実な実施はもとより,そもそもの豊洲の街と豊洲市場や関係者と信頼関係を築く実効的な施策を講じておらず,共生に必要な交通・治安などの課題の対応ができていないと感じております。

さらに,2年前の市場移転延期の決定時,新聞やワイドショーは,「豊洲猛毒」などと報じ,都も,地域住民からの指摘を無視し「豊洲問題」と表現しました。結果的に,豊洲の街の人々は,多かれ少なかれ謂れなき中傷を受けてきました。例えば,他区の学校や塾に通う子どもたちがいじめに合う,東京以外の方,さらには外国に住む方より,豊洲の街を奇異な目で見られるという経験をしました。特に実際に豊洲に来たことがない方々が抱く豊洲の街のブランドイメージが棄損されたと感じています。しかし,平成30年7月に策定が発表された「東京ベイエリアビジョン」では,豊洲は,「市場の活気とにぎわいを活かす」と位置づけられています。次世代のまちづくりのモデルとなる,世界を見据えた将来像を示し,東京,ひいては日本の成長戦略につなげていく街にすべく,都には積極的な対応を期待します。

上記状況を鑑み,東京都には,移転条件である千客万来施設整備や8号線延伸などの移転3条件を現実可能案も含め誠意ある具体的対応と,共生の為の課題解決の施策や協議体の設置,そして,東京都により棄損された豊洲の名誉回復を目的とした,世界や地方の人にとっても魅力ある街となる為の施策を要望します。

 

〇要望項目(抜粋)

 

最大のポイントは、地域と市場の共生に関する要望で、交通問題などの諸問題に関して課題解決していく為の協議体の設置を要望したところです。

また、東京都より棄損された豊洲の名誉を回復すべく、にぎわい施設や交通対策においても考慮いただきたいというのが要望趣旨になります。

4.最後に

市場(千客万来施設)が来ることで豊洲のマンションを購入した人も多くいるのではないでしょうか。一方、現状の築地市場を見て交通問題がどうなるかが不安になっている人も多くいるのではないでしょうか。

2年前までは、色々大変かもしれないけど街的に活性化しそうという市場への思いを、2年前以降は、住民の思いを混乱させ、街の意見を分断してしまったのは事実であり、忘れられない経緯になるかと思います。

10月11日に豊洲市場が開場いたしますが、住民の皆さんは街がどうなるかは注意深くウォッチし、結果的に良い街にしていければと思います。

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