マンション管理組合「コミュニティ形成」(コミュニティ条項)の削除に関しての考察

Yahoooニュースでしか見ていませんが、国土交通省が、マンション管理組合の「コミュニティ形成」(コミュニティ条項)という言葉を標準管理規約案から削除する方向示したとのことです。

記事によると

今年3月27日に国交省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長・福井秀夫政策研究大学院大学教授)がまとめた報告書案では、04年1月の標準管理規約改定以降、ほぼ10年間、マンション生活の基本に据えられてきた「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」(現行の標準管理規約第32条15項)の削除が打ち出された。「新標準管理規約」として、近くすべてのマンションに適用される見通しだ。

”居住者間のコミュニティ形成”がどこまでを意図しているかの詳細わかりませんが、記事には

・日常的に発生するマンション内のトラブルやもめ事の解決

・市役所、消防署、電力会社、警察、銀行などコンタクトを取らなければならない外部との交渉

と書かれています。

自分で言うのも何ですが、実体験も含めて、東京湾岸地域の高層マンションを中心としたマンション管理組合や自治会を知っている方だと思いますが、この地域にどのようなインパクトがありそうかを考察してみたいと思います。

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1.コミュニティ形成に関して

まず、コミュニティの役割と活動対象を纏めてみました。

◆役割

コミュニティ形成の役割は、有事平時問わず、以下のように考えます

A.人生を楽しく過ごす為

B.1人では対応できない課題を、複数人で対応する為

C.人間関係で生じるトラブルを未然に防ぐ、または、トラブルが起こった際に効率的に対処する為

D.マンション価値の維持

私の周りみられることとして、

Aとしては、近所の仲間とゴルフに行ったり、BBQをしたりするグループから、豊洲1,2,3丁目の管理組合と自治会とグループを作って、芝浦工業大学にて盆踊りをしています。

また、Bとしては、では、パークシティ豊洲自治会を形成して、横断歩道や郵便ポストの設置を行政とかけあったもしています。

そして、Cとしては、災害協力隊や自治会を形成して、マンション内で避難訓練をしたり、豊洲北小学校を核として災害に関する情報交換会をしていたりしています。

Dに関しては、表面化しずらいですが、コミュニティ形成自体がマンション資産価値を上げる要素になると思っています。

 

◆活動対象

では、次に活動の対象を考えてみたいと思います。それは、以下の3つがあるかと考えます。

A.マンション内

B.マンション外の住民

C.行政・学校・地域の企業

私の周りで見られることとして、

Aは、マンション内のクリスマスや餅つきなどのイベント。また、マンション内ロビーの過ごし方やごみの捨て方などの注意喚起。

Bは、前述の盆踊りや地域防災に関する取組

Cは、地域環境(交通や治安など)に関して協議をしたり、豊洲の場合は、豊洲の企業が集まった豊洲2,3丁目まちづくり協議会がありますので、住民とともにイベントを実施。

また、芝浦工業大学は、学園祭までも、地域の子供たちと学生のコミュニティを育成しています。

 

2.コミュニティ形成をする組織

コミュニティに関連する、豊洲や有明地区での具体的なプレイヤーを記載したいと思います。

まず、種別として

A.マンション管理組合(連合も)

B.町会・自治会

C.PTAや幼稚園・保育園の父母の会等

D.行政

E.学校

F.企業(連合も)

くらいでしょうか。具体的には、以下のような組織があります。

Aは、必ず各マンションに管理組合があります。また、有明のように”有明マンション連合協議会”という管理組合の集合体もあります。

Bは、豊洲・東雲・有明のマンションが所属している町会・自治会としては、豊洲町会、アーバンドックパークシティ豊洲自治会、キャナルワーフタワー自治会があります。

ただ、各マンションが、必ずしも町会自治会に入っているとは限りません。

また、各マンションの状況は以前記事にしました(豊洲東雲有明のマンション比較)ので、ご確認いただけるといいかと思います。

 

以上が、住民主体の組織で、マンション内外で活動をしていると思います。

特徴としては、マンション内のことに関しては管理組合が中心、マンション外のことに関しては自治会が中心として活動している傾向かと思います。

なお、自治会に関しては、一般的には豊洲地区町会自治会連合会に所属しており、江東区などの行政とのリレーションが強い組織になっています。

さらに、防災に関しては、自治会とは別に災害協力隊という組織があり、東雲のWコンフォートタワーズでは、災害協力隊を組成しています。

 

さて、CのPTAに関しては、マンション住民全体の組織ではありませんが、豊洲小学校や有明小学校など地域の小学校に通わせているマンション住民がメンバーになっています。

そういうこともあり、地域のコミュニティを形成する機能も有しています。

 

D以下に関しては、江東区や警察などの行政、芝浦工業大学や武蔵野大学などの学校、豊洲2,3丁目まちづくり協議会のような企業や企業群となり、住民以外の地域のプレイヤーになります。

それらに関しては、A~Cの住民と一緒にイベントを実施したり、所有している場所を使用させてくれたりして、コミュニティ形成に寄与しています。

 

3.管理組合にコミュニティ形成の機能がなくなった場合

まず、記事では、以下のように書かれています

管理組合団体や管理会社が懸念しているのは、マンションの“自治”がおろそかになり、さまざまなトラブル対処ができなくなれば、「マンションの資産価値に響く」(管理会社関係者)可能性があるためだ。国交省側も、こうした懸念に配慮し、報告書案では「今回の標準管理規約の見直しは(中略)コミュニティに係る規定について、管理費の支出をめぐり、意見の対立や内紛、訴訟等の法的リスクがあるという法律論から行っているもので、別途の政策論からは、マンションのコミュニティー活動は積極的に展開されることが望ましい」とし、マンション自治そのものの重要性を否定はしていない。

確かに、マンション内のコミュニティ形成が疎かになった結果、住み辛くなることになり、資産価値が下がることが想像されます。それは、国交省も認識しているようです。

そこで、「法律論から行っているもので、別途の政策論からは、マンションのコミュニティー活動は積極的に展開されることが望ましい」と結んでいるのですが、解釈がよくわかりません。

別の組織体が実施しても、法律的な責任は負うのではないでしょうか?

 

◆自治会が担う

法律論は置いておいて、管理組合が有していていた、前述のコミュニティ形成の役割を担保し、主にマンション内のコミュニティ形成機能を実施する為には、既存の自治会や、場合によってはPTA組織がその役割を担うことが考えられます。ただ、そもそもそれらは、マンション外に強い組織である為、既存のそれらに機能を持たせるためには、何某のバックアップが必要です。

また、新たな組織を作る場合は、自治会になるかと思いますが、管理組合の積極的な意思がないと組成するのは難しいです。

理由として、自治会を組成するプロセスとして、管理組合のバックアップで準備委員会を作るケースや、管理組合が発展的に自治会になるケースが多いと思われるためです。

以上から、この規定を推し進めるためには、管理組合が住民主体の組織を形成するバックアップが必要であるかと思います。

また、管理組合もなかなか自主的には難しいと思いますので、行政などのバックアップが必要かと思います。

 

◆NPOや株式会社が担う

自治会やPTAなどの住民の組織の他には、NPOや株式会社がその役割をサービスすることが考えられます。

ただ、どこが契約元になるのかが、論点になりそうですね。規約にコミュニティ形成機能を排除した場合は、管理組合も委託ができないでしょうし。

 

どちらにしても住民以外が主体となるのは、住民からの担い手がいない場合は、致し方ないのでしょう。

ただ、そのサービスを提供する組織は、それなりに求められるスキルは高いかと思います。

書いていて思いましたが、高齢化しているマンションでは、様々なハードルを越えなくてはいけないくらい、今まで日本で一般的に実施されてきた自治を委ねることすらが難しい状態になってきたのかと想像されます。

突き詰めて考えると、政治機能すら変わってくるんじゃないかなと、思いました。

 

さて、東京湾岸地域に翻って、仮に管理組合にコミュニティー形成機能を有することができないとされた場合、自治会を作ることになるのでしょうか。

忙しい働き世代がい多い地域ですが、既存の自治会などの組織を見てみると、工夫していけば何とか自治会を作っていくことができると思います。

ただ、住民の自主性と既存の管理組合の働きやサポートが必要となります。

 

今回のマンション管理新規約が出てきた理由としては、少子高齢化になったことが大きな要因と考えられます。

そう考えると、東京湾岸地域は日本全体から見てマイナーな地域であり、”新しい”地域でありながら、地域課題は、”新しい”課題ではなく、学校や保育園が足らないなど”古い”課題を有している地域なんだなという事に気が付きました。

つまり、今後の日本の法律的な変化が、東京湾岸地区にとって必ずしも良いとは言えず、例外的対応を、訴えなくてはいけないかもしれません。

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